今月の言葉を更新しました〜2025年12月(2025年12月2日)
しばらく滞っておりましたが、過去掲示板、まとめて更新しました(2025年11月28日)
今月の言葉を更新しました〜2025年7月(2025年7月1日)
6月掲示板の更新を失念してました。すみません。過去掲示板に掲載しました(2025年6月30日)
今月の言葉を更新しました〜2025年5月(2025年5月5日)
今月の言葉は、日本人の「かなしみ」の構造を深く見つめられた竹内整一氏の一文です。(『花びらは散る 花は散らない』角川選書)
近年「脱○○」や「○○2.0」といった、新しいものを求め古いものを切り離す発想が流行しました。しかし竹内氏は、新しさとは「これまで」を置き去りにすることで生まれるのではないと語ります。これまでの歩みを忘れると、人は前へ進めない、と。
竹内氏は同書で、将棋の羽生善治さんのインタビューを紹介します。
対局で長考するとき、羽生さんは相手の出方や自分の切り口など、未来の可能性だけを思い浮かべているのではなく、初手からいまの局面に至る〝過程〟を、むしろもう一度おさらいしていることが多いのだと語ります。どう進んできたかを確かめれば、おのずと次の一手が浮かぶからです。
この視点は、仏教の時間観である「去・来・現」にも通じます。過去と未来を〝現在〟が支えていると説き、未来を願うばかりでなく、過去に目を向けることも同じくらい大切で、そこから何よりも「今を生きる」ことが重要である、という教えです。
「新しいものを生み出す」と聞くと、古いものを捨てなければ、と思いがちです。しかし実際には、悔いや失敗のような思いも、静かに沈んでいく〝重荷〟ではなく、未来へ向かうための素材そのものなのだと、今月の言葉は教えてくれます。
作家ポール・ヴァレリーは「われわれは、後ずさりしながら未来へ入っていく」(『精神の政策』)と述べました。
さらに「湖に浮かべたボートを漕ぐように、人は後ろ向きに未来へ入っていく」(出典不明)とも。彼は未来予測には否定的でした。しかし、この言葉からは前方(未来)は見えなくとも、後方(過去)を見つめることで、進むべき方向(未来の方向性)が自然に定まっていくとも読めます。
年の瀬を迎えるこの時期、私たちは「今年できなかったこと」や「あの時こうすれば」という思いを抱きがちです。しかし、そうした思いも含めた〝これまで〟を丁寧に抱きしめることが、次の一歩をつくる力になるのでしょう。
闇雲に未来を追いかけるのではなく、過去を確かめながら歩む道。
その歩みにこそ、私たちの確かな明日があるのだと思います。
※2025年・大和大谷別院の12月号にもこの編集版が収録されています。
修正会・元旦(しゅしょうえ)…1月1日除夜の鐘終了後
修正会2日目(しゅしょうえ)…1月2日 午前8時より
春季永代経 … 3月16日(日)
他所経常費集金 … 7月13日(日)
境内葉刈作業 … 7月27日 (日)
秋季永代経 … 10月5日(日)
報恩講 … 12月5日(金)〜12月7日(日)
5日夜 → 子ども報恩講
6日夕 → 御傳鈔拝読(法話後)
7日午後 → 門徒総会
除夜の鐘…12月31日 (水)午後11時より(引続き修正会)
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